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労働・社保関係 令和2年度施行の法改正(多少マニアック編)

column

2020年04月15日

社会保険労務士法人味園事務所 特定社会保険労務士 味園公一

日本のみならず全世界が新型コロナウイルス感染症一色の中、新年度がスタートします。コロナ不況による倒産や解雇の声が聞こえ始め、新たに社会人となる者にも内定を取り消し等の影響が出ています。

早く終息し、経済を含め元の世界に戻って欲しいものです。

さて、今回は新年度に施行される法改正の一部をご紹介します。

労働基準法関係

※賃金請求権の消滅時効の改正(4月1日施行)

労働基準法第115条において、退職手当を除く賃金の請求権の時効は2年間と定められています。この根拠となった民法の短期消滅時効(1年間)の令和2年4月改正施行により短期消滅時効が廃止され、一般債権にかかる消滅時効については、①債権者が権利を行使できることを知った時(主観的起算点)から5年間行使しないとき、または②権利を行使することができる時(客観的起算点)から10年間行使しないときに時効により消滅することとなりました。

これにならい、賃金請求時効も5年になるところですが、2年から一度に5年に引き延ばすことで労使の権利関係が不安定になるとの懸念から、労働者名簿の保存期限に合わせて当面は3年間とされました。

なお、この法律の施行後5年を経過したときに改めて検討され、必要があると認められる場合は必要な措置をとるとされているため、5年を経過する令和7年には、賃金請求時効が5年となる可能性があります。

雇用保険法関係

※免除対象高年齢者の仕組みの廃止(4月1日施行)

保険年度の初日(毎年4月1日)において、満64歳以上の雇用保険の被保険者(短期雇用特例被保険者と日雇労働被保険者を除く。)については、当該年度の雇用保険料の徴収が免除されていましたが、令和2年4月1日以降はこの規定が廃止され、保険料が徴収されることになります。

雇用保険料が給与から控除されるのは、4月1日以後、最初に給与締切日をむかえる給与計算期間分の給与からになりますので、ご注意願います。

障害者雇用に関する法律関係

※週所定労働時間が一定の範囲内にある短時間労働者の雇用支援(4月1日施行)

現在の障害者雇用支援制度においては、週所定労働時間が20時間未満の者は支援の対象外となっています。しかし短時間であれば労働可能な障害者もおります。そこで週20時間未満の障害者を雇用する人数に応じて、障害者雇用納付金を財源とする新たな給付金が支給されることになりました。

詳細は以下URLを参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/000535730.pdf#search=%27%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E9%9B%87%E7%94%A8%E7%89%B9%E4%BE%8B%E7%B5%A6%E4%BB%98%E9%87%91%27

女性活躍推進法関係

※一般事業主行動計画の改正(4月1日施行)

次世代育成支援対策推進法に基づき、会社は従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することとなっており、常時雇用する従業員が101人以上の会社は、この行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出ることが義務とされています。(100人以下の場合は努力義務)

一般事業主行動計画とは、事業主が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、①計画期間②目標③目標を達成するための対策の内容と実施時期を具体的に盛り込み策定するものです。

このうち常時雇用する労働者数が301人以上の事業主は、令和2年4月1日以降を始期とする一般事業主行動計画を作成する際は、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」と「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」のそれぞれの区分(以下URL内上段の①及び②を参照)ごとに、1つ以上の項目を選択し、各々の数値目標を定めた行動計画の策定届を、管轄の都道府県労働局まで届ける必要があります。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000594316.pdf

労働施策総合推進法関係

※パワーハラスメント防止対策の法制化(6月1日施行)

パワーハラスメント(以下「パワハラ」という。)防止のための事業主の雇用管理上の措置義務などが新設されました。

パワハラ防止に向けた対策として、次の1.及び2.が定められました。

  • 職場におけるパワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。なお、適切な措置を講じていない場合には、行政の是正指導の対象となります。
  • パワハラに関する紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申し出ができるようになりました。

職場におけるパワハラとは、職場において行われる、次の①~③の全てを満たすものをいいます。

  • 優越的な関係を背景とした言動である。
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによる。
  • 労働者の就業環境が害されるものである。

なお、客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、パワハラには該当しません。

具体的事例、事業主の責務や事業主が講ずべき措置は、以下URLを参照願います。

https://jsite.mhlw.go.jp/tottori-roudoukyoku/content/contents/harasumento_2020_6_1.pdf

参照文献等 : 厚生労働省HP

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