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3Dフードプリンターで食事を

column

2020年12月09日

合同会社エムアイティエス代表 水谷哲也

野口宇宙飛行士がスペースX社のロケット「クルードラゴン」第一号機で飛び立ち、国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在が始まりました。いよいよ宇宙旅行への第一歩とワクワクするニュースですが多彩な宇宙食も話題になっています。宇宙食といえばチューブに入り、全然おいしそうではなく、ただただ栄養をとるためだけのものでした。

柿の種が宇宙へ

映画「2001年宇宙の旅」では木星探査に向かう宇宙船ディスカバリー号ではパレットに入った四種類のペースト状のものをスプーンで食べていました。今回の宇宙食は実に種類が豊富で、亀田の柿の種、日清焼きそばUFO、ローソンのスペースからあげクンなどが積み込まれ、さっそく宇宙で食事する風景が放映されています。

国際宇宙ステーションにはLED光源による植物工場も備えられレタスを収穫し食べることができます。野菜の種類を増やせば宇宙サラダも夢ではないでしょう。宇宙船だけでなく家庭用植物工場が販売されていますので庭がないマンション住まいでも自宅で育てた野菜を食べられる時代が登場しています。

将来の食事はこうなる

40年ほど前、日本最初のコンビニが豊洲に誕生します。当時、パソコンはまだなく基盤むきだしのマイコンがようやく登場した時代です。マニア向け雑誌だった月刊誌「マイコン」に将来の食事風景が描かれています。

エアコンが効いた快適な部屋で一人の主婦が読書をしている。ふと時計を見ると夕方4時になっている。そろそろ夕食の支度をする時間である。今日の献立は何にするか考え、カード・ホルダーから1枚のカードを取り出す。カードには献立の出来上がった写真と材料表が描かれている。部屋の隅にある機械にカードを挿入する。機械の表示板のランプが数個青く点灯する。彼女は「材料はOKね」と独り言を言いながら、その横のスタートボタンを押す。押した後はまた元の席に戻って読書を続ける。あと1時間ほどしたら家族全員の夕食が厨房室でおいしく出来上がっているはずだ。

3Dフードプリンターが一家に一台へ

マイコンの進化によってこんな未来が来るのではと40年前に予想した文章です。時代が進み、今ではコンビニやスーパーでピラフ、カレー、親子丼などを買ってきて電子レンジでチーンをすれば同様のことができます。ウーバーイーツや出前館でレストランから宅配を頼む方法もあります。

普及はこれからですが3Dフードプリンターが登場しはじめ、まもなく月刊誌「マイコン」に書かれた世界が実現しそうです。3Dフードプリンターとは3Dプリンターのように積層する技術を使います。ペースト状にした食材などをカートリッジにセットし、食品そのものを立体的に造形することでハンバーガーやピザなどを出力できます。

3Dフードプリンターを使えば複雑な形の食物も作れます。例えば花びらの形や器の形をしたチョコレートを作ろうと思えば、溶かしたチョコレートを型に流し込み冷やし固める必要があります。3Dフードプリンターを使えば、チョコレートの複雑な形状をCADで設計し、その通りに積層すれば作ることができます。もちろん型は必要なく1個からの注文にも対応できます。3Dフードプリンターでは個々人の健康、嗜好にあわせて食事をパーソナライズ化できます。見た目は同じ料理でもお爺ちゃん、お祖母ちゃんだけは柔らかい介護食に簡単にすることができます。

電子レンジの普及で食事を作るという概念が大きく変わったように3Dフードプリンターが一家に一台になると食事というスタイルそのものが変わっていくでしょう。材料を変えることでビーガン、ハラル対応も簡単にできそうでが、お寺で3Dフードプリンターから作られた精進料理が出てきたらどうでしょうか。クックパッドには料理の手順ではなく製造設計データがアップロードされる時代になるかもしれません。

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