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2022年 健康保険法等改正のポイント

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2021年08月11日

社会保険労務士法人味園事務所 特定社会保険労務士 味園公一

令和2年12月15日に閣議決定された「全世代型社会保障改革の方針について」(文末※1参照)等を踏まえ、現役世代の給付が少なく、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、全ての世代で広く安心を支えていく「全世代対応型の社会保障制度」を構築するために施行される法改正のポイントをご紹介します。

健康保険法等の改正のポイント

傷病手当金制度の見直し(健康保険法)2022年1月1日施行

傷病手当金とは、私傷病による療養のための休業により給与の全部又は一部を受けない場合に、その期間の生活保障として支給される保険給付です。

傷病手当金について、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるよう、支給期間の通算化を行う。

(改正前)支給を始めた日から起算して1年6か月を超えない期間支給する
(改正後)支給を始めた日から通算して1年6か月間支給する

昨今は、メンタルヘルス不調による休業など、休職と復職を繰り返すケースが増えています。法改正前は、同一の私傷病においては「支給開始日から暦日で1年6か月」を超えると傷病手当金が支給されませんでした。法改正後は、「実際に支給を受けた日が通算して1年6か月に達するまでの期間」傷病手当金が支給されることになります。これにより仕事と療養との両立がより長い期間保たれることになります。

上記改正に加えて、「他の法令による保険給付との調整」に係る規定が新設されました。
(追加規定)保険者は、傷病手当金の支給を行うにつき必要があると認めるときは、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定により給付を行う者に対し、当該給付の支給状況につき、必要な資料の提供を求めることができる。

任意継続被保険者制度の見直し(健康保険法)2022年1月1日施行

任意継続被保険者制度とは、健康保険(協会けんぽ、健保組合)に加入していた者が退職し、その被保険者資格を喪失した場合に、次のいずれの要件を満たせば退職後最長2年間、引き続き従前の健康保険制度に加入できるというものです。
(1)資格喪失日の前日までに「継続して2か月以上の被保険者期間」があること。
(2)資格喪失日から「20日以内」に申請すること。(20日目が営業日でない場合は翌営業日まで)
任意継続被保険者の保険料は、会社が負担していた分の保険料割合も全て自らが負担することになります。退職直前の給与額によっては国民健康保険より保険料負担が低い場合もあるため、退職時にはいずれの保険制度に加入するかの比較対象となります。

任意継続被保険者の保険料の算定基礎の見直しや、被保険者からの申請による資格喪失を可能とする。

被保険者資格の喪失要件の追加

改正前

任意継続被保険者は、次の各号のいずれかに該当した日の翌日(第4号から第6号はその日)から、任意継続被保険者の資格を喪失します。
(1)任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき。
(2)死亡したとき。
(3)保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき。(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)
(4)被保険者となったとき。
(5)船員保険の被保険者となったとき。
(6)後期高齢者医療の被保険者等となったとき。

改正後

資格喪失事由として次の事由が追加されます。
「任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を、厚生労働省令で定めるところにより、保険者に申し出た場合において、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき。」

これにより、任意継続被保険者がいつでも被保険者資格を喪失することができるようになります。

育児休業中の保険料免除要件の見直し(健康保険法・厚生年金保険法等)
2022年10月1日施行

短期の育児休業の取得に対応して、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とすることとする。

改正前

育児休業等を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月までの期間、当該被保険者に関する保険料が免除されます。

改正後

次のとおり扱いが変更されます。
(1)育児休業等を開始した日の属する月と終了する日の翌日が属する月とが異なる場合は、開始日の属する月から終了日の翌日が属する月の前月までの月の保険料を免除する。
(2)育児休業等を開始した日の属する月と終了する日の翌日が属する月とが同一であり、かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が14日以上である場合は、当該月の保険料を免除する。
(3)保険料の免除要件を上記2つの区分とした上で、育児休業等の期間が1月以下である場合は、標準報酬月額に係る保険料に限り免除の対象とする(賞与に係る保険料は徴収)。

改正後は、同一月内に2週間以上の育児休業を取得しないと保険料免除にならないということと、特に賞与支給日の前後月をまたいで短日数の育児休業を取得しても、賞与の保険料は徴収されるということに変わります。

参考資料等

※1:全世代型社会保障改革の方針について
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/zensedaigata_shakaihoshou/pdf/kaikakuhosin_r021215.pdf

○その他、厚生労働省HP

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