MENU

傷病手当金の支給期間通算の実務

column

2022年02月16日

社会保険労務士法人味園事務所 特定社会保険労務士 味園公一

全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律に基づき、令和4年1月1日より健康保険法の傷病手当金の支給期間が通算されることは昨年夏ごろにお知らせしたとおりです。1月を迎え実務がスタートしたことと、昨年11月に厚労省よりQ&Aが発出され、さらに12月に追加されましたので、今回は具体的に実務上の注意点を紹介します。

傷病手当金改正(支給期間通算)の概要

(改正前)支給を始めた日から起算して 1 年 6 か月を超えない期間支給する
(改正後)支給を始めた日から通算して 1 年 6 か月間支給する

「傷病手当金について、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるよう、支給期間の通算化を行う。」こちらについては既に紹介した通りです。この「その分の期間を延長」できるケースとは、以下の通りとなります。

①出勤による給与額が傷病手当金日額を上回り、傷病手当金が不支給となるケース。
②年次有給休暇に対するもの等、会社から支払われる給与額が傷病手当金日額を上回り、傷病手当金が不支給となるケース。

改正前は、傷病手当金の支給が開始された日から暦日で1年6か月を経過すると、それ以上は支給されないこととなっていました。別の傷病に起因する傷病手当金については別個のものとして、その支給開始日から1年6か月のカウントが始まったわけですが、同一の傷病によるものの場合は、傷病手当金を受給後に復職した期間がありその後再度受給する場合は、当初の支給開始日から1年6か月間で頭打ちとなったわけです。

改正後は、同一の傷病による傷病手当金については、途中労働した期間等があったとしても、その支給日を通算して1年6か月になるまで受給できるようになったわけです。

傷病手当金通算にかかる実務上の注意点

傷病手当金の総支給日数は、支給開始日(一般的には連続した3日間の待期期間が経過した休業4日目)から1年6か月の歴日数分となります。また前述の通り、支給期間の通算は「同一の負傷又は疾病及びこれにより発した疾病」のみ行われます。この「同一の・・・」は保険者(協会けんぽ又は健康保険組合)が決定します。なお、同一の疾病に起因する傷病手当金であったとしても、症状が治ゆ(これ以上改善の余地がない状態)していたり、あるいは一度治ったものがある程度の期間の後に再発した場合などは、別個のものとして取り扱われます。

経過措置

改正法の施行日は令和4年1月1日ですが、これには経過措置が設けられており法施行日の前日(令和3年12月31日)において、支給開始日から1年6か月を経過していない傷病手当金が対象となります。

具体的には、令和2年7月2日以降に支給開始日がある傷病手当金が対象ということです。

支給期間とカウントされるケース

全日休業により傷病手当金が満額支給された日を支給期間としてカウントすることは当然のことです。レアなケースだと思いますが例えば、半日年次有給休暇を取得して半日を休業した場合は、傷病手当金額が満額支給されなくとも支給期間としてカウントされます。極端な話、1円でも傷病手当金が支給されれば支給期間となるのです。少し乱暴ですが、全支給期間につき満額受給した場合と、そうでない場合とで受給総額が変わることになります。傷病手当金を申請しない日については支給期間1年6か月には通算されませんので、あえて申請しない日をつくるケースも有り得るのかなと感じます。

傷病手当金の見直しに関するQ&A

健康保険法改正に関するQ&Aは、令和3年11月10日に発出されました。以下に重要と思われるものを説明いたします。

さらにQ&Aの内容が令和3年12月27日事務連絡により追加されました。詳しくは、以下URLをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220104S0060.pdf

支給期間の計算方法

(問)以下のケースにおいて傷病手当金の申請がなされた場合、傷病手当金の支給期間及び支給満了日はどうなるのか。
【例】①令和4年3月1日~4月10日 労務不能(支給期間:38日間)
   ②令和4年4月11日~4月20日 労務不能(支給期間:10日間)
   ③令和4年5月11日~6月10日 労務不能(支給期間:31日間)

(回答)

  • 上記のケースにおいては、令和4年3月1日から3日までの3日間の待期期間 を経て、令和4年3月4日が傷病手当金の支給開始日となり、支給期間は令和5 年9月3日までの549日間となる。①の支給期間(38日間)後、残りの支給日数は511日、②の支給期間(10日間)後、残りの支給日数は501日、③の支給期間(31日間)後、残りの支給日数は470日、となる。
  • なお、今回の法改正により、残りの支給日数が0日となる日が支給満了日とな る。例えば③の期間が終了した翌日(令和4年6月11日)より、1)連続して470日間労務不能であった場合は令和5年9月23日、2)支給期間の合間に合計して40日間就労した場合は令和5年11月2日、 がそれぞれ支給満了日となる。

資格喪失後の給付について

(問)資格喪失後の継続給付の取扱いはどうなるのか。

(回答)

  • 資格喪失後の傷病手当金の継続給付については、健保法第104 条において、「継続して」受けるものとされているため、従来どおり、被保険者として受けることができるはずであった期間において、継続して同一の保険者から給付を受けることができる。
  • ただし、一時的に労務可能となった場合には、治ゆしているか否かを問わず、同一の疾病等により再び労務不能となっても傷病手当金の支給は行わない。

※参考:厚生労働省HP

  • 掲載しているブランド名やロゴは各社が所有する商標または登録商標です。
  • この情報の著作権は、執筆者にあります。
  • この情報の全部又は一部の引用・転載・転送はご遠慮ください。

関連コラム

社労士コラム2022年 健康保険法等改正のポイント