0120-70-4515
電話受付:平日 10:00〜17:00
(土・日・祝日休)
column
2025年12月10日
水谷IT支援事務所代表 水谷哲也
2026年1月より中小受託取引適正化法(取適法)がスタートします。これは、製造業などの適正取引を定めた下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正によるものです。長年、用いられてきた手形での支払いは原則として法律違反となり、電子記録債権(電債)を使用する場合であっても、支払期日を物品等の受領日から60日以内としなければ違反となります。発注担当者および受注担当者への教育は欠かせません。
下請代金支払遅延等防止法は昭和31年に制定された古い法律です。もともとは製造業が対象で、下請取引の公正化及び受注事業者の利益の保護を図ることを目的としています。発注企業に比べ弱い立場である受注事業者を守るための法律です。
やがて経済のサービス化、ソフト化が進んだこともあり、平成15年に法律改正が行われ、プログラム作成やデザイン制作など情報成果物作成委託が新たな対象となりました。その他に自動車整備業、家電修理業などの修理委託、運送、広告制作などの役務提供委託も対象となっています。
発注企業には四つの義務があります。
発注企業は、受注事業者からの価格協議に応じなければ法律違反になります。原材料費や輸送費、人件費など値上げが続いています。受注事業者からの価格協議に応じず、一方的に代金を決定すると法律違反になります。協議を繰り返し先延ばしにするのも法律違反です。
手形による代金の支払いは原則として法律違反になります。紙の手形が無くなるため電子記録債権(電債)に移行している企業も多いですが、支払期日が60日以内でなければ法律違反になります。また、受取手数料や振込手数料を受注事業者に負担させるのも禁止です。
発注企業ではペーパーレス化が進んでいますが、その点を考慮して書面交付義務については、受注事業者が「ウチはメールなんか見ないのでFAXしてくれ」と依頼しても、電子メールなどの電磁的方法で送れます。受注事業者が承諾していなくてもかまいません。これは、受注事業者にもデジタル化に対応するよう促す側面があるということです。
法律を知らなかったでは済みません。軽微な違反なら指導がありますが、これが勧告になると会社名や違反内容が公表され、公正取引委員会のホームページに掲載され、新聞などでの報道で社会的信用に影響を与えます。
発注・受注担当者だけでなく、総務部門で、ちょっとした冊子のデザインをクラウドソーシングでフリーランスに頼もうという場合も関係してきます。全社員が対象だと考えて、しっかり教育しましょう。
関連コラム
ITコラム紙の手形が2027年3月になくなります