0120-70-4515
電話受付:平日 10:00〜17:00
(土・日・祝日休)
column
2025年11月12日
水谷IT支援事務所代表 水谷哲也
1997年にサービスを開始した「gooポータル」が、2025年11月25日にサービスを終了します。1997年といえば、映画「タイタニック」や「もののけ姫」が封切られ、消費税が3%から5%に引き上げられた年で、IT分野では楽天市場が13店舗でスタートしました。また、IBMのコンピュータ「ディープ・ブルー」がチェスの世界チャンピオンを破り、将棋や囲碁でも人がコンピュータに敗れるのではないかと言われ始めた年でもあります。当時はまだインターネットの普及率が1割にも到達していない状況でした。
2年前の1995年は、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が発生し、騒然とした1年でしたが、年末に「ウィンドウズ95」が発売されます。秋葉原、大阪・日本橋、名古屋の大須商店街など各地の電気街には、深夜にむけて続々と人が集まり、店舗前には長い行列ができました。午前0時ジャストに「ウィンドウズ95」の販売が開始されますが、深夜のカウントダウン・イベントがテレビや新聞で大きく採りあげられ、お祭り騒ぎとなります。テレビを見ていた人への宣伝効果は絶大で、「ウィンドウズ95」をきっかけに、初めてパソコンを買う人が続出しました。今はサブカルチャーの街となった秋葉原ですが、当時はパソコンや周辺機器を求める人で賑わう電気街として発展していきます。
「ウィンドウズ95」には、インターネット・エクスプローラなどインターネット機能が標準搭載されていました。「ウィンドウズ95」を買えばインターネットが簡単に始められるというイメージ戦略もあって、人気に拍車をかけます。簡単とはいえ、モデムに接続するために暗号のようなコマンドなどを覚える必要がありましたし、当時は電話回線でしたので接続するのも大変でした。ただ、「ウィンドウズ95」がきっかけで、個人や企業へ急速にパソコンが普及していくことになります。
ヤフーが日本でサービスを開始したのは1996年4月1日です。今ではメジャーな名前ですが、当時は「ヤフー」という言葉は初耳でしたので、読み方がわからず、よく「ヤホー」や「ヤッホー」と呼ばれていました。
雑誌やNTTディレクトリに掲載されたURLを入力しホームページを見ていましたが、ヤフーの登場で「検索する時代」がスタートします。ヤフーはディレクトリ(分類)型検索エンジンで図書館のように「文学-日本文学-平安時代」と分類されていて、そこにホームページが登録されていました。登録は、人がホームページを見て行っていたため、その質は非常に高かったのです。
gooポータルがスタートしたのは1997年3月27日で、アップル社を追い出されていたスティーブ・ジョブズがアップル社を立ち直らせるために舞い戻った年になります。「global networkが無限大に拡大し続ける」という意味から、goo(グー)とネーミングされています。gooポータルはヤフーと同じようにホームページ検索でき、NTTアド、NTT、Inktomi(アメリカ)の3社が共同開発したロボット型日本語検索エンジンが使われました。
ヤフーのトップ画面には「教育」や「ビジネスと経済」などの分類名が並んだのに対し、gooポータルにはニュース、ゲーム、スポーツ、ビジネスなどが並び、クリックするだけですぐにアクセスできました。まさにポータル(入口)でした。辞書、路線、地図なども提供しており、インターネット黎明期には大変お世話になったものです。運営はNTT-Xで、紆余曲折があり、今はNTTドコモになっています。
gooポータルに登録されているホームページが多く、よくヤフーと併用して使われました。まだまだ検索そのものがメジャーではなく、検索テクニックを競う「検索の鉄人」というイベントが開催されていました。クイズ形式で出題される問題にただ答えるのではなく、実技もあり、この時に「goo」が使われました。検索の鉄人サイトには、「gooを使って練習してみよう」というコーナーもありました。優秀賞金は100万円で、多彩な検索オプションも駆使しなければ優勝できませんでした。用語を調べる時には「とは」を用語の語尾につけるとよいなどのノウハウが披露されました。インターネット黎明期から活躍したgooポータル、28年間おつかれさまでした。
関連コラム