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ふだんは気にしないパソコンの電源

column

2026年02月11日

水谷IT支援事務所代表 水谷哲也

先日、カンボジアを旅行した際、ホテルのコンセントに電源タップを接続したところ、バチッという音とともに火花が出ました。電源タップの仕様を確認すると「110V対応」となっており、カンボジアの電圧は220V。つまり、対応電圧が不足している電源タップを使用したことが原因でした。ふだん何気なく使っている電気ですが、かつては周波数に合わせて家電を買い替えなければならない時代がありました。

周波数とは

カンボジアのホテルのコンセントは3つ穴タイプでしたが、A・B・Cタイプすべてに対応した「ユニバーサルコンセント」だったため、変換アダプターなしで使用できました。日本のコンセントはAタイプと呼ばれますが、3つ穴の下2つにさせば問題ありません。パソコンは100V-240V対応でしたのでそのまま使えましたが、日本の電圧が100Vに設定されているのは、万が一感電した際の人体への衝撃を抑えるという安全面を考慮してのことです。

カンボジアの電圧は220V、周波数は50Hz(ヘルツ)です。Hzとは、1秒間に電流の「プラス・マイナス」が変化する波の数を表します。50Hzなら1秒間に50回変化します。日本国内では、東日本が50Hz、西日本が60Hzと分かれています。その境界線は、静岡県の富士川と新潟県の糸魚川を結ぶ「糸魚川静岡構造線」であり、フォッサマグナの西端にあたります。日本列島の中心に位置するフォッサマグナですが、その成り立ちには未解明な部分も少なくありません。命名者はナウマンゾウで有名なエドムント・ナウマンで、彼はわずか20歳で来日した青年地質学者でした。ちなみに「フォッサマグナ」はラテン語で「大きな地溝」を意味します。

引越しと家電の買い替え

糸魚川静岡構造線を境に周波数が分かれているのは、明治時代に発電機を輸入に頼っていた名残です。東京にはドイツのアルゲマイネ社製(50Hz)が、大阪にはアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社製(60Hz)が導入され、そのまま統一されずに現在に至ります。当時は送電網が全国規模ではなかったため、大きな問題にはなりませんでした。

しかし、その後の引越しにおいては、この周波数の違いが大きな負担となりました。昭和の時代、大阪から東京へ引越す際は、周波数が異なると家電が故障してしまうため、すべて買い替える必要があったのです。一方、同じ東日本である仙台から東京への引越しなら、周波数が同じなのでそのまま使えました。やがて電子回路(インバーター)の進化により、異なる周波数でも動作する「ヘルツフリー」の家電が2000年頃から普及し、この問題は解消に向かいます。ただし、現在でも一部の機器は周波数の影響を受けるため、工場移転などで精密機器を移動させる際は特に注意が必要です。

パソコンも周波数に注意

パソコン黎明期、データの保存にはカセットテープが使われていました。当時のテープレコーダーはモーターの回転速度が電源周波数に依存していたため、周波数が異なるとテープの再生速度が変わり、データの読み書きができないトラブルが頻発しました。また、モニターも現在の液晶ではなくブラウン管だったため、周波数の影響を直接的に受けていました。

現在のパソコン用電源は「100V-240V, 50/60Hz」のマルチ電圧・ヘルツフリーが主流で、世界中どこへ持参しても基本的には使用可能です。ただし、電源ユニットが対応していても、本体のすべての部品が海外の電圧に耐えられるとは限りません。稀に、対応しているはずのパソコンを接続して煙が出たというケースもありますので、海外での使用には十分な確認をお勧めします。

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