0120-70-4515
電話受付:平日 10:00〜17:00
(土・日・祝日休)
column
2026年01月14日
水谷IT支援事務所代表 水谷哲也
「おみくじ」を引いて大吉が出たと喜んで終わっていませんか。「おみくじ」は単なる吉凶の判断ではなく、神様からのメッセージを受け取り、人生の指針とすることに本来の意義があります。もともとは和歌で読み解くものでしたが、現在の「おみくじ」は分かりやすいように吉凶が記されています。最近では、神様だけでなくブッダ(仏陀)の言葉を人生の指針にできるボットも登場しています。
初詣で「おみくじ」をひかれた方も多いと思いますが、運勢はいかがでしたか。そもそも、神様からのお告げは和歌で行うのが日本古来の考え方です。和歌を通じて神様と対話し、人生の指針となる深いメッセージを受け取ることこそが、本来の「おみくじ」の姿です。 「おみくじ」の語源である「籤(くじ)」は、神の真意をうかがう手段として古代から使われてきました。例えば、室町幕府の将軍・足利義持が後継者を決めずに亡くなった際、籤引きで次の将軍を決めました。選ばれた足利義教は、後に「くじびき将軍」と呼ばれました。
現在の「おみくじ」の原型ができたのは平安時代のことです。比叡山の高僧・元三大師が漢詩を元にした「くじ」の形を作って寺院で広めました。運勢を漢詩でよんだもので、吉凶の判断のみならず、詩歌に込められた具体的な教えを理解し、人生の道標とすることが目的でした。
やがて「おみくじ」は漢詩から和歌へと変わり、巫女などがその和歌を解釈して参拝者に伝えていました。明治時代になると、現在のように一目で分かる吉凶が載るようになります。今でも多くの「おみくじ」には和歌が添えられています。和歌は神様からの直接的なメッセージ(神託)と考えられており、その解釈を通じて、日々の心構えや直面している問題への向き合い方が示されているのです。
たとえ「凶」が出たとしても、和歌の内容を深く読み解けば、「今は慎むべき時期」「努力を続ければ好転する」といった具体的なアドバイスに気づくことができます。例えば、おみくじに「雨が降る」とあった場合、旅行に出かける人には凶となりますが、日照りに困っていた農家にとっては吉となります。受け取る側の状況によって吉凶の意味合いは変わるため、結果に一喜一憂する必要はありません。現在でも「武蔵野坐令和神社」などでは、吉凶を記さず和歌自体を味わう「歌占(うたうら)」としてのおみくじが授与されています。
生成AIが急速に進化するなか、ブッダと対話できるAIも登場しています。ブッダと弟子のやりとりをまとめた仏教経典を学習させた「ブッダボットプラス」です。開発したのは京都大学の熊谷ラボとテラバース社です。悩み事を入力すると、その内容に合致した経典の文言が提示されます。難解な経典も多いため、AIが解説や説明を加えて回答してくれます。
例えば「悪いと思っていながら、お酒を飲みすぎてしまいます」と入力すると、「良くない物事を近づけず、飲酒を慎み、良い行いに励むことが、この上ない幸せである」というスッタニパータの一節が示されます。スッタニパータは仏教の最も古い経典の一つで、パーリ語で「スッタ(経)」と「ニパータ(集)」を意味します。「ブッダボットプラス」は現在、僧侶向けに提供されていますが、若者の仏教離れを危惧するブータン王国への導入も発表されています。
同チームは他にも、親鸞(浄土真宗の開祖)や世親(唯識思想を大成したインド僧)といった仏教聖者をモデルとしたボットも発表しています。さらに、キリスト教の教えをQ&A形式でまとめた概説書を元にした「プロテスタント教理問答(カテキズム)ボット」も開発されました。いわば「キリスト教AI」です。
「おみくじ」の生成AIもすぐに実現しそうですが、ときには足を運び、引き当てた紙の「おみくじ」を境内の木の枝に結ぶという文化も大切にしたいものです。
関連コラム
ITコラム生成AIが日本で生まれなかったワケ