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2026年06月10日
水谷IT支援事務所代表 水谷哲也
確定申告や決算に欠かせないのが会計ソフトです。かつてはパソコンにインストールするタイプが主流でしたが、現在はクラウド型が中心になっています。Freee、マネーフォワード、弥生会計が有名ですが弥生会計が一番の老舗になります。
インストール型会計ソフトは初期費用(購入時)のみで済みますが、クラウド型は毎年利用料がかかります。しかし、税制改正があってもシステム側で自動的にアップデートされるのがメリットです。一方、インストール型は最新版を購入し、自分でアップデート作業を行う必要があります。
クラウド型の一番のメリットは、インターネットバンキングと連携して銀行口座の取引明細を自動で取り込める点です。例えば、最初に電力会社の引き落としを「水道光熱費」と設定しておけば、翌月からは自動で分類され、ユーザーは確認するだけで済みます。また、事業用クレジットカードで経費となる備品などを購入するようにすれば、同様に取引明細が取り込まれるため、手入力の手間が省けます。データさえ蓄積されていれば、ボタン一つで試算表などを出力可能です。外出先からスマートフォンで確認することもできるため、どこにいてもリアルタイムで経営状況を把握できます。
クラウド会計ソフトとしては「freee」「マネーフォワード」「弥生会計」などが有名です。このなかで最も歴史が長いのが弥生会計で、そのルーツは約半世紀前に遡ります。
インターネットがなかった時代、会計ソフトはインストール型しかありませんでした。1987年、日本オールシステムズ(のちに日本マイコン販売へ社名変更)が発売したのが「青色申告会計・弥生」です。当時の会計業務はまだ手書きや電卓が主流でした。会計ソフト自体は存在していたものの、大企業などを対象とした高額なものに限られていたため、パソコンに詳しい人は表計算ソフト「Lotus 1-2-3(ロータス ワン・ツー・スリー)」を活用して計算していました。
そこへ、小規模事業者でも手が届く価格の「弥生会計」が登場します。当時はまだMS-DOSの時代だったため、5インチのフロッピーディスクに格納され、パソコンショップなどで販売されました。日本では3月末決算の企業が多く、会計ソフトが最も使われる時期が3月(旧暦の弥生)であることから「弥生会計」と命名されています。弥生のロゴマークには、右上に向かって伸びる矢印がデザインされていますが、これには顧客の「右肩上がりの経営」を支援するという意味が込められています。
日本進出を検討していた米インテュイット社(Intuit 金融ソフト会社)が、業務ソフト「大番頭」を販売していたミルキーウェイ社と、弥生を開発した日本マイコン販売を相次いで買収し、日本法人を設立します。その後、同社はライブドアに買収されて傘下に入りますが、「ホリエモン事件(ライブドア事件)」が発生。急遽、弥生の社長がライブドアの社長を兼任するなど、激動の歴史をたどることになります。その後も親会社は次々と変わり、現在は米国の投資ファンドKKRの傘下となっています。
このように親会社は幾度も変わりましたが、「小規模事業者向けに使いやすい会計ソフトを提供する」というスタンスを貫いたことで、「会計ソフトといえば弥生」という定番の地位を確立していきました。
本来、会計ソフトを使いこなすには「仕訳(帳簿に取引を記録する仕組み)」の知識が必要ですが、弥生には入出金の内容から日々の取引を選んで入力するだけの「簡単取引入力」機能があり、初心者にも優しいインターフェースになっています。もちろん、従来の仕訳による入力パターンも用意されています。また、販売管理ソフト「弥生販売」や「弥生給与」も展開しており、これらを会計ソフトと連動させることも可能です。
クラウド会計の分野ではfreeeやマネーフォワードが先行していましたが、弥生もクラウド版をリリースしました。さらに2016年には、クラウド請求管理サービスのベンチャー企業「Misoca(ミソカ)」を買収。見積書・納品書・請求書の発行・管理もクラウド上で行える体制を整えました。
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