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第133期 中国の宇宙開発が‘桁違いに速い’納得の理由

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2026年06月30日

利墨(上海)商务信息咨询有限公司  南 みなみ

ここ数年、人民網日本語版の記事の中で、「宇宙関連」の記事が明らかに増えていることに気づきました。実際に調べてみると、中国の宇宙開発はこの10年で驚異的な速度で発展を遂げていました。有人宇宙飛行(神舟シリーズ)、月面探査(嫦娥シリーズ)、そして独自の宇宙ステーション「天宮」の完成。さらに近年は民間企業による商業ロケット事業も急成長しているようです。
そこで、本コラムでは、政策・主要中国企業・直近ニュースの3つに分けて、中国の宇宙産業の「今」をご紹介します。


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政策について

中国の宇宙開発は長らく国家主導(国営企業の中国航天科技集団など)が中心でした。しかしここ数年、政策は大きく転換しています。

主な政策動向

五カ年計画における位置づけ

第14次五カ年計画(2021-2025年)

  • 宇宙産業を「戦略的新興産業」の一つとして位置づけ。
  • 有人宇宙飛行・月面探査・火星探査・北斗导航系統(Beidou)などの重大プロジェクトを推進
  • 第15次五カ年計画(2026-2030年)

  • 宇宙産業を「新興支柱産業」に格上げ
  • 集積回路、航空・宇宙、バイオ医薬品、低空経済と並び、国の長期技術・産業発展の中核としています。

これは「戦略的新興産業」からさらに一段高い位置付けであり、強力な政策支援・国家資金・産業開発プログラムの対象となることを意味します。

※新興支柱産業:基幹的役割という属性と新興分野という特徴をともに備え、国民経済の規模拡大を支えるとともに、経済構造の最適化・高度化を効果的に促進する産業形態を指す。

その他の主な政策動向

  • 商業航天関連法規(2024年改正)
    民間資本の宇宙産業への参入を法的に明確化。小型ロケット・小型衛星の製造・打ち上げに関する許認可手続きが整備された。
  • 「民間資本の宇宙産業への参入促進」
    国務院の政府活動報告(2024年・2025年)に連続で明記。従来の「国家プロジェクト優先」から「民間との協業」へ方針転換。
  • 海南商業宇宙発射場(2024年運用開始)
    中国初の商業専用発射場。海南省文昌市に建設。従来は国家プロジェクトが優先され民間企業は打ち上げ順番待ちだったが、専用発射場により小型ロケットの頻繁な打ち上げが現実的になった。
  • 外商投資奨励目録(2022年改定)
    航空航天用新材料、民間衛星の設計・製造、地上設備などが「外資積極誘導対象」に指定されている。

中国の宇宙産業に所属する企業

中国の宇宙産業には、2025年末時点で約600社の企業が所属しています。その中でも有名な国有企業・民間企業6社をご紹介します。

国有企業

  • 中国航天科技集团有限公司(CASC)
    長征ロケット系列・有人宇宙飛行(神舟)・月面探査(嫦娥)を担当。「宇宙開発」の中心的事業を行っており、この会社のグループには多くの上場会社が連なっています。
  • 中国卫星网络集团有限公司(China SatNet)
    2035年までに展開する国家プロジェクト「国網(GW)計画」(約13,000機の低軌道通信衛星)を統括。

民間企業

  • 银河航天(北京)科技有限公司(Galaxy Space)
    中国版Starlinkを目指す。低軌道通信衛星を量産。商業宇宙分野で初のユニコーン企業と言われており、現在IPO準備をしています。
  • 蓝箭航天空间科技股份有限公司(Landspace)
    2023年メタンロケット「朱雀2号」で世界初の軌道投入に成功した企業。2025年、再利用型ロケットの試験機を公開。
  • 深蓝航天有限公司(Deep Blue Aerospace)
    垂直着陸再使用型ロケットを開発。2025年、km級垂直離着陸回収飛行試験に成功。
  • 星河动力航天科技股份有限公司(Galactic Energy)
    2026年3月時点にて、中国民間ロケット企業の中で成功打ち上げ回数、打ち上げ衛星数ともに第1位を獲得。固体燃料、液体燃料の両タイプのロケットを開発している企業。


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直近ニュース:2025-2026年のトピックス

有人宇宙飛行:神舟シリーズの継続運用

  • 神舟21号(2025年10月打ち上げ成功)
    宇宙ステーションとの自律的な高速ドッキングを最速記録(約3時間半)にて達成。
  • 神舟23号(2026年5月打ち上げ成功)
    香港出身の元警察官で情報技術関連の業務に従事していた女性が搭乗。

また、宇宙ステーションにいる宇宙飛行士が地上とリアルタイムで連携しながら、「物理・生物・宇宙工学の特別授業」を行う『天宮課堂』が開催されるなど、青少年が宇宙産業や理系科目に興味を示す取り組みも積極的に行われているようです。

月面探査:嫦娥7号・8号と国際月面観測ステーション(ILRS)

  • 嫦娥6号(2024年5月打ち上げ成功)
    月周回飛行や世界初となる月裏側でのサンプル採取を実現。
    大阪・関西万博にて月の土壌サンプルがお披露目される。
  • 嫦娥7号(2026年下半期打ち上げ予定)
    高精度の月面軟着陸、脚式歩行、月面ホッピング、月面の永久陰影クレーター探査といった重要技術の突破を目標とし、周回、着陸、巡回、ホッピングを組み合わせた総合的探査方式により、月の南極地域の環境および資源の調査を行う。

国網(GW)計画:中国版Starlink

中国衛星網絡集団公司(SatNet)が主導。約13,000機の低軌道通信衛星を計画。

2024年12月に初の一括打ち上げ(一箭十星) を成功させ、2025年末までに17回の打ち上げで合計136機の衛星を軌道上に配置済み。

2026年は約310機の打ち上げを目標としており、年内にもスマートフォン直結型の衛星通信サービスの商用化が予定されています。最終的には2035年までに全機の展開を完了する計画で進められています。

商業小型ロケットの連続成功(2025-2026年)

2025年に入り、藍箭航天(Landspace)・星际荣耀(iSpace)・星河動力(Galactic Energy)が相次いで商業打ち上げに成功。業界全体として「実証段階」から「実用段階」に入ったとの見方が強いと言われています。

まとめ

中国の宇宙開発は、「国家の威信」から「民間が活躍する市場」へと変わりつつあります。2026年は国網計画の一括打ち上げが本格化し、再使用ロケットの試験が重なるなど、まさに「節目の年」となります。新しい産業が急成長するときには、新しいお金の流れと同時にリスクも生まれます。宇宙産業のような巨額投資分野では、投資回収に時間が掛かり、債権回収に伴う困難も少なくありません。

今月米国で「SpaceX」が史上最大規模のIPO(募集額750億ドル)を実施し、宇宙産業への関心がかつてなく高まっています。中国でも、多くの宇宙関連企業が力強く育っている現状に、私自身は大きな期待を感じています。

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