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数字で振り返る上海の5年 – 2019→2025、何がどう変わったか

column

2026年08月26日

利墨(上海)商务信息咨询有限公司  南 みなみ

2020年6月、弊社コラム「第64期 数字で見る魔都・上海」では、上海の基礎情報を数字ベースでご紹介しました。あれから5年。街並みは大きく変わっていないように見えても、数字の上では確かな進化を遂げていました。今回は、2019年(前回コラムの基準年)と2025年の最新データを比較しながら、この5年間で上海がどのように変わったのかを振り返ります。


引用元:包图网


数字で見る上海

地下鉄:世界最大のネットワークがさらに拡大

2019年度 2025年度 増加数

運営路線数

16路線

22路線

+6路線

総延長

676km

962km

+286km(+42%)

駅数

413駅

532駅

+119駅(+29%)

この5年間で、路線数は6路線増加し、総延長は1.4倍に拡大しました。 主な新規開通路線としては、14号線、15号線、18号線、市域線・空港連絡線などが挙げられます。

現在の962kmの規模は東京の地下鉄(約304km)の3倍以上、ニューヨーク(約380km)の2.5倍に相当し、世界最大の地下鉄網です。それでもなお、将来の計画では1,642kmまで拡大する予定であり、まだ発展の余地を大きく残しています。

また、空港連絡線の開通により、浦東空港と虹橋空港間の移動時間が従来の90分から40分に短縮され、ビジネス・観光ともに利便性が大幅に向上しました。

人口:微増傾向が続く

2019年度 2025年度 増減

常住人口

2,428.14万人

2,485.41万人

+約57万人

戸籍常住人口

1,450.43万人

1,510.91万人

+約60万人

外来常住人口

977.71万人

974.50万人

▲約3万人

上海在留日本人

41,756人

31,733人

▲約1万人

この5年間で上海の常住人口は約57万人増加し、年間増加率は0.5%弱と緩やかな微増傾向が続いています。注目すべきは、中国の4直轄市(北京市・上海市・重慶市・天津市)の中で、前年比で人口増加を維持しているのは上海市だけという点です。

一方、外務省『海外在留邦人調査統計』によると、上海に居住する日本人は、約1万人減少しました。これは、コロナ禍による帰任の増加や、現地化の流れによる駐在員から中国人社員へのシフトなど、構造的要因が複合的に影響しているものと考えられます。

GDP:5兆元の大台を突破、円換算では約2倍に

2019年度 2025年度 増加率

GDP(元)

3兆8,155億元

5兆6,708億元

+48.6%

前年比成長率

5.9%

5.4%

年平均為替レート

15.8円/元

21.2円/元

この5年間で上海のGDPは約1.5倍となり、5兆元の大台を突破しました。

5兆元超えを達成したのは上海市と北京市の2都市のみであり、改めてこの2都市が中国経済を牽引していることが分かります。

また、円換算で見ると、2019年(約60兆円)から2025年(約120兆円)にかけて2倍に拡大しており、為替の影響も含めると、インパクトはより大きいと言えるでしょう。

産業構造:サービス経済化がさらに進む

産業別GDP比率

産業 2019年度 2025年度 変化

第一次産業(農業等)

0.27%

0.18%

▲0.09pt

第二次産業(製造業等)

26.99%

20.5%

▲6.49pt

第三次産業(サービス業)

72.74%

79.3%

+6.56pt

この5年間で第三次産業(サービス業)の比率は80%近くにまで上昇しました。上海の経済が「モノづくり」から「サービス・知識集約型」へと大きくシフトしていることがこの数字から明確に読み取ることができます。

主要産業の付加価値額比較

産業 2019年度 2025年度 5年間の伸び率

情報伝送・ソフトウェア・情報技術サービス業

4,094億元

7,140億元

+74.4%

金融業

6,600億元

8,980億元

+36.1%

工業

9,670億元

11,165億元

+15.5%

卸売・小売業

5,023億元

6,509億元

+29.6%

不動産

3,300億元

5,593億元

+69.5%

交通運輸・郵便業

1,650億元

2,077億元

+25.9%

この5年間で最も急成長をしたのは情報伝送・ソフトウェア・情報技術サービス業で、伸び率は74.4%に達し、全産業を圧倒しています。AI・クラウド・データセンター関連の需要拡大がその背景にあると思われます。

また、上海が「戦略的新興産業」と位置付ける以下の分野(集積回路<半導体>、バイオ医薬、人工知能、新エネルギー自動車、ハイエンド装備、航空宇宙、情報通信、新材料、新興デジタル産業)の2025年における付加価値額は1兆4,342億元に達し、上海のGDPの25.3%を占めるまでに成長しています。

市民生活の指標:所得も消費も向上、ただし「質」へのシフトが見られる

一人あたり可処分所得

年度 金額 前年比

2019年

69,441元

+8.2%

2025年

96,842元

+4.0%

この5年間で一人あたりの可処分所得は約27,400元(+39.5%)増加しました。

社会消費品小売総額

年度 金額 前年比

2019年

1兆3,497億元

+6.5%

2025年

1兆6,601億元

+3.5%

消費市場全体の規模も約23%拡大となりました。

ここで注目したいのは、所得の伸び(39.5%)に対し、消費額の伸び(+23%)は約9.5ポイント下回っていることです。これは、「モノ消費」から「コト消費」(体験型・情緒的価値への支出:エンタメ、旅行、自己啓発等)へのシフトや、コストパフォーマンスを重視する購買行動が消費者に浸透してきた現れだと感じています。

まとめ

この5年間、上海の街並みは一見するとそれほど変わっていないように見えるかもしれません。しかし、地下鉄・人口・GDP・産業構造・消費行動という複数の切り口で数字を追うと、確かな構造変化が浮かび上がってきます。

数字で現状を把握することは、ビジネスにおける戦略を立てる上で基本となる考えです。自身の業種や自社の数値と、今回ご紹介した上海のマクロデータを照らし合わせることで、新たな気づきやビジネスチャンスの発見になれば幸いです。

上海はまだまだ進化を続けています。今年から始まる第15次五カ年計画に向けた政策の方向性も気になるところです。「魔都」の異名に恥じない、魔力に満ちたこの都市の次の5年が今から楽しみでなりません。

参考文献:

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