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世界最大のショッピングイベント!ダブルイレブンについて

column

2020年12月23日

利墨(上海)商务信息咨询有限公司  逢坂 興昌

世界中では秋から冬場にかけて、アメリカの「ブラックフライデー」、「サイバーマンデー」など大規模なショッピングイベントや、日本の年明け行われているバーゲンセールなどが開催されていますが、そんな中でも最大規模のショッピングイベントが中国にあることを皆様はご存知でしょうか。

今回はそんな中国のショッピングイベント「ダブルイレブン」についてご紹介をしていきたいと思います。

ダブルイレブン・双十一(shuāng shí yī)とは?

2009年11月11日に中国ECサイト大手アリババのECサイト「天猫Tmall」で始めたショッピングイベントです。現在では毎年11月11日に行われるEC業界の年間最大恒例イベントとなっております。ダブルイレブンは「双十一」という名でアリババの登録商標となったのですが、現在では11月11日に行われる全てのECセールのことをダブルイレブンと呼んでいます。

ショップイベント

参照:アリババ公式HPより

なぜ11月11日にショッピングセール?

ダブルイレブン(双十一 shuāng shí yī)とは、「1」が4つ並ぶ日であることから「独身の日」と言われています。1990年代に大学生たちの独身者がその日に集まり、パーティーやプレゼント交換をして、シングルデー(光棍節)として祝い始めたのが由来のようです。

11月11日は国慶節後からクリスマス前まで祝日などのイベントがないタイミングと、人気が出ていた「シングルデー(光棍節)」に目を付けたアリババが、独身の日にちなんで独身者に向けたプロモーションから始まったようです。

世界最大の規模?!

ダブルイレブンはとにかく規模が規格外です。日本国内最大級のEC業者・楽天の年間流通総額を1日で達成してしまうほどの規模の大きさです。

例年は11月11日の1日だけ開催されるイベントですが、今年は物流や配送の負担軽減を目的として、11月1日~3日と11月11日の2回に分けてイベントが開催されています。今年で12年目となる2020年11月1日~11日の流通総額(GMV)はアリババ(天猫)だけで4,982億元(約7兆4,730億円)、中国EC大手・京東は2,715億元(約4兆725億円)となり、2社とも過去最高記録を達成しています。なおダブルイレブンの売上ベースでみると全体の59.3%はアリババ(天猫)、25.3%は京東と2社で8割強のシェアとなっています。※1元 約15円

ダブルイレブンが開始した当初はGMV5,200万元でしたが、当初は前年比3倍近くの成長を続け、規模が大きくなった近年でも前年比約30%増を継続させております。12年たった今では約9,400倍の取引量になっており、爆発的な成長となっていることがわかります。

近年のダブルイレブン、EC業界全体の成長要因の一つとして「ライブコマース」の活用も注目されております。詳細については、過去「ライブコマース」について取り上げた記事がございますので、こちらもご参考ください。

参考記事:withコロナ時代の勝ち組「中国ライブコマース」事情 2020/07/01

ダブルイレブンの数値(アリババ) 2020年度 2019年度 前年比
流通総額(GMV) 4,982億元 2,684億元 26%増※
参加ブランド数 25万以上 20万 25%増
参加消費者数 約8億人 約5億人 60%増
処理した荷物配送オーダー数 23.2億件 約13億件 78%増
ピーク時取引件数 58.3万件/秒
GMV 1億元以上を達成したブランド数 470以上
中国向け越境EC概要(海外からの輸入)
参加国地域数 89 79 13%増
参加ブランド数 3万1,000以上 2万2,000以上 41%増
国地域別GMVランキング1位 日本 5年連続

※前年比は単純計算の場合85.6%増ですが、今年より期間が変更した関係から、前年同期比での算出した場合の増加率で算出をしているとアリババ公式サイトで報告されております。

ダブルイレブンの推移(アリババ)

アリババ報告資料を基に筆者が編集

売れ筋商品は家電!越境ECだと日本がトップ!

ダブルイレブンで一番売れている商品は「家電」で、「デジタル製品(スマホなど)」、「衣料」と続きます。「家電」では中国大手家電メーカー「美的」、「ハイアール」、「小米」が売上上位を独占しています。「デジタル製品」では、「アップル」が売上トップですが、「ファーウェイ」、「小米」が2位、3位にランクインしており、中国の中で中国企業の影響力が高いということがわかります。なお、成長率が一番高いものは、「スキンケア商品」、「化粧品」など美容に関する商品が高いです。

25万以上のブランドが参加、そのうち3万1,000の海外ブランドが中国向け越境ECを通じて参加しました。中国向け越境ECにおける国・地域別のGMV(流通総額)ランキングでは日本が2016年から5年連続で1位を獲得しています。

参照:2020年双十一全网销售数据复盘分析报告より

発生した問題点

ダブルイレブンでは規模が良く注目されますが、それだけの規模があると問題点も発生します。解決されてきている問題もありますが、継続的な課題点もありますので、その点をご紹介していきたいと思います。

物流問題

発注が1日に集中する関係から物流の問題がありました。ダブルイレブン開始当初は、仕分や積荷を手動で行っていたため、通常4日で届く商品が半月かかるケースもあり、利用者の不満が出ておりました。しかし、物流車両の無人化や配送システムのロボット化など自動化したことで、効率UPとミスの軽減につながり、今年も過去最高のGMVを記録した現在でも、注文当日や翌日には配送完了できるようになっております。国家郵政局が観測したデータによると2020年11月11日の処理件数は、6億7,500万件と前年比26.6%増と過去最高の処理件数となっております。

プロモーション活動

事例としては、ダブルイレブン前に一旦価格を上昇させ、ダブルイレブン当日に値引きを行い、値引き率を上げるという方法です。これを問題視した国家市監督管理総局は、事業者の販売促進活動を規制し、公平な競争を積極的に維持するよう「規範促銷行為暫行規定」を2020年12月1日に施行されたので、今後は問題が少なくなると予想されます。

返品数の多さ

近年では返品ルールを設定している場合が多く、衝動買いをしてしまったユーザーが、商品到着後やはり不要なものと返品とすることもありメーカー側の負担となっていることがあります。また、返品ルールを使いサクラとしてAIで大量購入し販売規模を拡大、後日9割返品された事例もあります。プラットフォーマー側で取り締まりを行っているようですが、規模の拡大をしたいプラットフォーマーの思惑もあるため、この問題解決には時間がかかると想定がされます。

参照:从爆仓到“当日达” 探寻双十一物流提速背后的秘密より

そのほかのショッピングイベント

「ダブルイレブン」以外にも中国には同じようなショッピングイベントは2つあります。「618」と「ダブル12」です。

「618」は、ECサイト大手・京東の開業記念日のお祝いとして始まった例年6月1日~6月18日まで行われるショッピングセールです。EC業界全体のGMV4,573億元とダブルイレブンと比べると約半分の規模ですが、こちらも規模としては世界トップレベルです。

「ダブル12 (双十二 shuāng shí er)」は2011年からアリババが始めた毎年12月12日に開催するショッピングイベントです。ダブルイレブンはオンラインイベントがメインですが、「ダブル12」はオンラインショッピングに加えて、オフラインのリアル店舗も参加することが違う点となっております。

今や世界最大規模のセールも行われるようになった中国ですが、近い将来世界経済の中心となる日が来るかもしれません。時代に乗り遅れないためには、まずは中国の成長過程をしっかり知ることが大事だと思います。成長過程には問題点で挙げたようなリスクも潜んでいますので、見極める力をつけリスクコントロールをしていきましょう。

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