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2025年10月22日
利墨(上海)商务信息咨询有限公司 南 みなみ
中国では、今年の春節に人型ロボットが人と一緒にダンスをするシーンが公開され、この半年間ロボットに関するニュースが数多く報道されています。
そこで、ロボット市場の中でも産業用ロボット市場について取り上げていきます。
引用元:包图・企业站
中国は世界最大のロボット生産国です。産業用ロボットの生産台数は2015年の3.3万台から2024年には55.6万台へと増加、販売台数も30.2万台に達し、12年連続で世界最大の産業用ロボット市場の地位を維持しています。合わせて、近年の自動化・デジタル化の技術進展に加え、人手不足や人件費上昇対策として、中国企業各社で産業用ロボットの導入が拡大しており、中国のロボット保有台数は2021年に100万台を超え、2024年には200万台の大台に乗ったとされています。
また、2024年の中国における産業用ロボット関連の特許出願件数は、世界のロボット関連特許出願総数の3分の2を占めており、この分野に中国が力を入れていることが明確です。
中国製造2025は2015年5月に発表された産業政策です。次世代情報技術や高度なデジタル制御の工作機械・ロボットなど10の重点分野と23の品目を設定し、製造業の高度化を目指したものです。 第一段階の2025年までの目標は「世界の製造強国の仲間入り」としており、品目ごとに国際比率の目標を設定しています。産業用ロボットでは、「自社ブランドの市場占有率」を25年に70%としています。
引用:日本経済新聞「中国の産業補助金とは WTOルール抵触のケースも」
2025年6月、工業情報化部など6省庁が共同で「2025年度スマート工場の段階育成行動に関する通知」を発表。この政策では、スマート工場を4つの等級に分け、企業の現状に応じた段階的な育成とアップグレードを推進しています。
2025年8月19日、上海市経済・情報化委員会が「上海市における『AI+製造』発展加速のための実施案」を発表しました。「模塑申城·AI+製造」行動を実施し、AI技術と製造業の深度融合を推進し、新たな工業化へのエンパワーメントを加速させ、新たな質の生産力を形成することを目標としています。
模塑申城とは、「模塑」と「申城」を組み合わせた言葉です。「模塑」は「模範」と「塑像(形作る)」を組み合わせた造語で「申城」は上海の別称です。つまり、「模塑申城」とは、 AI技術を駆使して、製造業の新しい模範(モデル)を上海で作り上げるという意図を表しています。その中で、スマートなプロダクトとして、工業用ロボットについては『AIを駆使して、部品から制御までを強化し、単体で高性能なロボットを開発するとともに、それらが互いに、また人間と協調して自律的に作業できるシステムの実現を目指す』としています。
国際ロボット連盟(International Federation of Robotics)が2024年9月に発表した『World Robotics2024』より、中国における電子機器の主要な顧客産業は「電気/電子機器」、「自動車」、「金属機械」が上位導入業種となっています。
中国製造2025の最終年を迎え、中国は産業用ロボット市場での販売台数の世界1位になりました。また、中国の産業用ロボット市場は、政策支援と技術革新を背景に今後も拡大が続くと見込まれています。産業用ロボット市場の更なる発展にこれからも期待していきたいです。
参考記事
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